No.182 - 日本酒を大切にする
No.89「酒を大切にする文化」の続きです。No.89 で、神奈川県海老名市にある泉橋いづみばし酒造という蔵元を紹介しました。「いづみ橋」というブランドの日本酒を醸造しています。この蔵元の特長は、
◆ 酒造りに使う酒米さかまいを自社の農地で栽培するか、周辺の農家に委託して栽培してもらっている。
◆栽培するのは「山田錦」や「雄町」などの酒米として一般的なものもあるが、「亀の尾」や「神力しんりき」といった、いったんは廃すたれた品種を復活させて使っている(いわゆる復古米)。
◆精米も自社で行う。つまりこの蔵元は、米の栽培から精米、醸造という一連の過程をすべて自社で行う、「栽培醸造」をやっている。
いづみ橋の定番商品、恵(めぐみ)の青ラベル(純米吟醸酒)と赤ラベル(純米酒)。泉橋酒造周辺の海老名産の山田錦を使用。日本酒度は +8 ~ +10 と辛口である。という点です。「酒を大切にする文化」は、酒の造り手、流通業者、飲食サービス業、消費者の全部が関係して成立するものです。しかし文化を育成するためには、まず造り手の責任が大きいはずです。この記事で言いたかったことは、ワインは世界でも日本でも「栽培醸造」があたりまえだが、日本酒では非常に少ない。こんなことで「日本酒を大切にする文化」が日本にあると言えるのだろうか、ということでした。
このことに関してですが、最近、朝日新聞の小山田研慈けんじ・編集委員が「栽培醸造」を行っている酒造会社を取材した新聞記事を書いていました。「日…