No.381 - AIで分かった無意識バイアス
No.363「自閉スペクトラム症と生成 AI」で、東畑とうはた開人かいと氏(臨床心理士、日本心理臨床学会常務理事)が朝日新聞(2023年6月22日)に寄稿された「AI に心の相談をする」というコラムを紹介しました。東畑氏は ChatGPT(当時)に "心の相談" をいろいろやってみたところ、
悩みを打ち明けて、核心に迫るコメントをされたときには動揺した
と書かれていました。そして、全体として次のような評価をしています。
将来的にAIが悪意をもって暴走することへの懸念もあるようだが、現状のChatGPTを見る限り、私が決定的に優れていると思うのは、その安全感だ。人間に悩みを打ち明けるとき、私は不安になる。負担になるんじゃないか、軽蔑されるんじゃないかと、逡巡しゅんじゅんする。相手の心が怖いのだ。しかし、AIは気分にムラがないし、機嫌を損ねることもない。言葉の裏を読まなくてよい。時間や場所を気にする必要もない。AIの器は無限だ。心がないからだ。私が何を言おうとお構いなしに一定の反応を返してくるとわかっているから、あらゆることを相談できる。
臨床家として思う。この安全感はきわめて貴重だ。たとえば長らくひきこもり、ときに死を考える青年のように、深刻に追い詰められている人にとって、なによりも難しいのは助けを求めることである。その心は自己を責め、他者を深刻に恐れている。悩みを打ち明けることで余計に傷つくしれないと怯おびえているとき、そう簡単には人間相手に「つらい」と言えない。
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