No.348 - 蚊の嗅覚は超高性能
今まで何回か生物の "共生" について書きました。たとえば、
No.105「鳥と人間の共生」
では、アフリカのサバンナにすむノドグロミツオシエという鳥が動物を蜂の巣へ誘導する行動が、かつてアフリカにいた絶滅人類との共生関係で成立したのではないかとする、ハーバード大学のランガム教授の仮説を紹介しました。また、
No.307「人体の9割は細菌(1)21世紀病」
No.308「人体の9割は細菌(2)生態系の保全」
では、人体に住む常在菌(特に腸内細菌)が、人体に数々のメリットを与えていることをみました。
生物界における共生、ないしは依存関係で最も知られているのは、植物と昆虫の関係でしょう。植物は昆虫によって受粉・交配し、昆虫は蜜などを得る(=栄養として子孫を残すことに役立つ)という関係です。植物は昆虫にきてもらう為にいろんな手を尽くします。
オーストラリアに自生するある種のランは、特定の蜂のメスに擬態し、その蜂のオスが間違えて交尾にやってくると、可動する雄蕊おしべで花粉を蜂の背中につけるものがあります。こうなると、ランが蜂を「利用している」という印象になりますが、進化のプロセスが作り出したしくみは誠に奥深いというか、非常に巧妙だと思わざるを得ません。
ところで最近、植物と昆虫の関係に似た話が日本経済新聞に載っていました。それは「ウイルス」と、ウイルスを動物間で媒介する「蚊」の関係です。ちょっと信じがたいような内容だったので、それを紹介したいと思います。中国の清華大学のチームの…