No.333 - コンクリートが巨大帝国を生んだ

今まで古代ローマについて何回かの記事を書いたなかで、ローマの重要インフラとなった各種の建造物(公衆浴場、水道、闘技場、神殿 ・・・・・・)を造ったコンクリート技術について書いたことがありました。 No.112 - ローマ人のコンクリート(1)技術 No.113 - ローマ人のコンクリート(2)光と影 の2回です。実は、NHKの番組「世界遺産 時を刻む」で、古代ローマのコンクリート技術が特集されたことがありました(2012年)。この再放送が最近あり、録画することができました。番組タイトルは、 世界遺産 時を刻む 土木 ~ コンクリートが巨大帝国を生んだ ~ NHK BSP 2022年3月2日 18:00~19:00 です。番組では現代に残る古代ローマの遺跡をとりあげ、そこでのコンクリートの使い方を詳細に解説していました。やはり画像を見ると良く理解できます。 そこで番組を録画したのを機に、その主要画像とナレーションをここに掲載したいと思います。番組の全部ではありませんが、ローマン・コンクリートに関する部分が全部採録してあります。 古代ローマのコンクリート 【ナレーション】 (NHKアナウンサー:武内陶子) 永遠の都、ローマ。立ち並ぶ巨大な建築は、ローマ帝国の栄光と力を今に示しています。その街並みを作ったのが、高度な土木技術です。 古代の最も優れた土木技術と言われるローマの水道。地下水道をささえているのはコンクリートです。円形闘技場、コロ…

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No.332 - クロテンの毛皮の女性

このブログで過去にとりあげた絵の振り返りから始めます。No.19「ベラスケスの怖い絵」で紹介した『インノケンティウス十世の肖像』で、ベラスケスがイタリア滞在中に、当時75歳のローマ教皇を描いたものです。 ベラスケス(1599-1660) 「インノケンティウス十世の肖像」(1650) ドーリア・パンフィーリ美術館(ローマ) この絵について中野京子さんは「怖い絵」の中で次のように書いていました。 ベラスケスの肖像画家としての腕前は、まさに比類がなかった。──(中略)── 彼の鋭い人間観察力が、ヴァチカンの最高権力者に対しても遺憾いかんなく発揮されたのはとうぜんで、インノケンティウス十世は神に仕える身というより、どっぷり俗世にまみれた野心家であることが暴露されている。 眼には力がある。垂れた瞼まぶたを押し上げる右の三白眼。はっしと対象をとらえる左の黒眼。ふたつながら狡猾こうかつな光を放ち、「人間など、はなから信用などするものか」と語っている。常に計算し、値踏ねぶみし、疑い、裁く眼だ。そして決して赦ゆるすことのない眼。 どの時代のどの国にも必ず存在する、ひとつの典型としての人物が、ベラスケスの天才によってくっきり輪郭づけられた。すなわち、ふさわしくない高位へ政治力でのし上がった人間、いっさいの温かみの欠如した人間。 中野京子『怖い絵』 (朝日出版社。2007) 肖像画を評価するポイントの一つは、描かれた人物の性格や内に秘めた感情など、人物の内面を表現して…

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