No.325 - 高校数学で理解する誕生日のパラドックス

「高校数学で理解する・・・」というタイトルで、今まで5つの記事書きました。 No.310-311 高校数学で理解するRSA暗号の数理 No.313 高校数学で理解する公開鍵暗号の数理 No.315-316 高校数学で理解する楕円曲線暗号の数理 ですが、いずれも現代のインターネット社会における情報通信の基礎となっている "公開鍵暗号" の数理を、高校レベルの数学だけを前提知識として述べたものでした。 今回はその「高校数学で理解する\(\cdot\cdot\cdot\)」の続きですが、公開鍵暗号よりは断然軽い話題で、No.149「我々は直感に裏切られる」でとりあげた「誕生日のパラドックス」をもう一度、考察します。No.149 では「バースデー\(\cdot\)パラドックス」と書いたもので、よく知られた話です。  誕生日のパラドックス  誕生日のパラドックスとは、 誕生日のパラドックス 23人のクラスで誕生日が同じ人がいる確率は 0.5 を越える というものです。一瞬、えっ! と思ってしまいますが、数学的には全く正しい。普通、パラドックスと言うと「絶対に不可能なことが可能なように思えてしまう」ないしは、「あり得ないことがあり得るように見えてしまう」ことを言いますが、この誕生日のパラドックスはそれとは違う「疑似パラドックス」です。つまり、 疑似パラドックス = 直感に反するが、数…

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No.324 - 役割語というバーチャル日本語

このブログの第1回目は、 No.1-2「千と千尋の神隠し」と「クラバート」 でした。宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』には、ドイツの作家・プロイスラーの小説『クラバート』に影響を受けた部分があるという話から始まって、『クラバート』のあらすじを紹介し、『千と千尋の神隠し』との関係を探ったものです。 その発端の『千と千尋の神隠し』ですが、最近の新聞に登場人物の言葉使いについての興味深い話題が載っていました。今回は是非ともそれを紹介したいと思います。 なお、以下に掲げる引用において下線は原文にはありません。また段落を増やしたところがあります。 役割語 キーワードは、大阪大学教授で日本語学者の金水きんすい敏さとし氏が提唱した概念である "役割語" です。役割語とは何か、朝日新聞の記事から引用します。 「千と千尋」セリフが作る世界観   キャラ印象づける「役割語」 「そうじゃ、わしが知っておるんじゃ」 「そうですわよ、わたくしが存じておりますわ」 こんな話し言葉を聴くと、私たちは自然に、おじいさんとお嬢様の姿を思い浮かべる。特定の人物像と結びついた特徴ある言葉遣いを、大阪大学大学院文学研究科の金水敏教授(65)は「役割語」と名付けた。役割語からアニメの世界を読み解くことで、見えてくるものとは。 金水さんは3年前から、「ジブリアニメのキャラクターと言語」と題した講義を始め、毎回200人以上の学生が受講している。講義では、…

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