No.314 - 人体に380兆のウイルス
No.307-308「人体の9割は細菌」で、ヒトは体内や皮膚に棲む微生物と共存していることを書きました。これら微生物には、もちろんヒトに有害な事象を引き起こすものもありますが、ヒトの役に立ったり、ヒトの免疫機構を調整しているものもある。人体は微生物と共存することを前提に成り立っています。
No.307-308での "微生物" は、題名にあるように主に細菌でした。しかし忘れてはいけない微生物のジャンルはウイルスです。そして人体はウイルスとも共存しています。人体に共存する微生物の総体(=微生物叢そう)をマイクロバイオーム(Microbiome。厳密にはヒトマイクロバイオーム)と言いますが、ウイルスの総体(=ウイルス叢そう)をバイローム(Virome。ヒトバイローム)と言います。言葉がややこしいのですが、マイクロバイオームの一部としてバイロームがあると考えてよいでしょう。
ウイルスというと、病気を引き起こす "ヒトの敵" というイメージが強いわけです。新型コロナウイルスがまさにそうだし、No.302「ワクチン接種の推奨中止で4000人が死亡」でとりあげたのは、子宮頸癌を引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)とそのワクチンの話でした(HPV は他の癌の原因にもなりうる)。大きな社会問題にもなった肝炎を引き起こすウイルスがあるし、エイズもウイルスの感染で発症する病気です。もちろんインフルエンザもウイルスが原因です。
しかしウイルスの中にはヒトに "好ましい" 影響を与えるものもあります…