No.307 - 人体の9割は細菌(1)21世紀病
このブログの過去の記事で、人体に共生している微生物(主として細菌)がヒトにとって重要な役割を果たしていることを、本や雑誌の内容をもとに書いてきました。
No. 70 - 自己と非自己の科学(2)
No.119 -「不在」という伝染病(1)
No.120 -「不在」という伝染病(2)
No.225 - 手を洗いすぎてはいけない
No.229 - 糖尿病の発症をウイルスが抑止する
の5つの記事です。共生している微生物("常在菌" と総称される)が不在になったり、微生物の種類のバランスが崩れるとヒトは変調をきたします。上の記事は微生物と免疫との関連でしたが、この場合の変調とは免疫関連疾患(=アレルギーや自己免疫疾患)の発症です。
アランナ・コリン 著
矢野真千子 訳
「あなたの体は9割が細菌」
(河出文庫 2020)
この、"人体は微生物との共生で成り立っている" ことを書いた別の本を紹介したいと思います。アランナ・コリン著「あなたの体は9割が細菌」(矢野真千子・訳。河出書房 2016。河出文庫 2020。原題 "10% Human"。以下「本書」と記述)です。この本は免疫関連疾患だけなく、ヒトと共生微生物の関係を幅広く取り上げています。そこポイントです。
著者のアランナ・コリンは進化生物学の博士号をもつ英国人で、専門はコウモリのエコロケーション(超音波による物体位置認識)です。また、サイエンス・ライターとしても活躍しています。
以下、…