No.283 - ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
前回の No.282「ショスタコーヴィチ:ムツェンスク郡のマクベス夫人」の続きです。以下の "番組" とは、音楽サスペンス紀行「ショスタコーヴィチ:死の街を照らしたレニングラード交響曲」(NHK BS プレミアム、2020年1月16日)のことです(No.281 参照)。
プラウダ批判
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」が初演されたのは、1934年1月22日、レニングラードの、現ミハイロフスキー劇場です。それから2年も経ったあと、"事件" が起きました。
1936年1月26日、スターリンはモスクワのボリショイ劇場で評判のオペラ『ムツェンスク郡のマクベス夫人』を観ましたが、第3幕が終わったところで席を立ちました。翌々日の1月28日、共産党機関誌「プラウダ」は『マクベス夫人』を批判する記事を掲載しました。いわゆる「プラウダ批判」です。
画面の左下の記事がいわゆる「プラウダ批判」。「ショスタコーヴィチ:死の街を照らしたレニングラード交響曲」(NHK BS プレミアム、2020年1月16日)より。
私はロシア語を読めないので英訳にあたってみると、記事の見出しは "Muddle instead of Music" です。"Chaos insted of Music" との訳もあるようです。日本語に直訳すると「音楽ではなく混乱」ぐらいでしょう。番組にあったように "支離滅裂" というのもあると思います。
いったい『マクベス夫人』の何が批判されたのでしょうか。番組において、サンク…