No.252 - Yes・Noと、はい・いいえ

言葉で認識し、言葉で思考する このブログで今まで日本語と英語(ないしは外国語)の対比について何回か書いてきました。今回もそのテーマなのですが、本題に入る前に以前に書いたことを振り返ってみたいと思います。なぜ日本語と英語を対比させるのかです。 人間は言葉で外界を認識し、言葉で考え、言葉で感情や意見を述べています。我々にとってその言葉は日本語なので、日本語の特徴とか特質によって外界の認識が影響を受け、思考の方法にも影響が及ぶことが容易に想像できます。 それは単に影響するというレベルに留まらず、日本語によって外界の認識が制限され、思考方法も暗黙の制約を受けると思います。どんな言語でもそうだと思うので仕方がないのですが、我々としては言葉による束縛から逃のがれて、なるべく制限や制約なしに認識し、思い込みを排して自由に考えたいし、発想したい。 それには暗黙に我々を "支配" している日本語の特徴とか特質や "くせ" を知っておく必要があります。知るためには日本語だけを考えていてはだめで、日本語以外のもの = 外国語と対比する必要があります。日本人にとって(私にとって)一番身近な外国語は英語なので、必然的に英語と対比することになります。 英語(ないしは外国語)との対比ということで過去のブログを振り返ってみますと、まず語彙レベルの話がありました。  蝶と蛾  No.49「蝶と蛾は別の昆虫か」で書いたのですが、日本語(と英語)では蝶と蛾を区別しますが、ドイツ語で…

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No.251 - マリー・テレーズ

このブログではアートのジャンルで数々のピカソの絵を取り上げましたが、今回はその継続で、マリー・テレーズを描いた作品です。今までマリー・テレーズをモデルにした作品として、 ◆『マヤに授乳するマリー・テレーズ』   No.46「ピカソは天才か」 ◆『本を持つ女』   No.157「ノートン・サイモン美術館」 の2つを取り上げました。ピカソは彼女をモデルとして多数の作品をさまざまな描き方で制作していますが、今回はその中でも最高傑作かと思える絵で、『夢』(1932)という作品です。以下、例によって中野京子さんの解説でこの絵を見ていくことにします。中野さんは『夢』の解説でピカソとマリー・テレーズの出会いから彼女の死までを語っているので、それを順にたどることにします。  以下の引用では漢数字を算用数字に改めました。また段落を増減したところがあります。下線は原文にはありません。 パブロ・ピカソ(1881-1973) 「夢」(1932) (個人蔵) マリー・テレーズとの出会い 1927年のパリ。45歳のパブロ・ピカソは街で金髪の少女を見かける。溌剌はつらつたる健康美にあふれた彼女にすぐ声をかけて曰いわく、 「マドモアゼル、あなたは興味深い顔をしておられる。肖像画を描かせてください。私はピカソです」 ずんぐりした小男ながらカリスマ的魅力を放ち、すでに国際的な大画家でもあったピカソにしかできない芸当…

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