No.250 - データ階層社会の到来
No.240「破壊兵器としての数学」は、アメリカのキャシー・オニールが書いた『破壊兵器としての数学』(=原題。2016年に米国で出版)の紹介でした。日本語訳の題名は『あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠』(インターシフト 2018.7.10)です。この中でオニールはアメリカにおける、
・教師評価システム
・USニューズの "大学ランキング"
・個人の行動履歴にもとづくターゲティング広告
・個人の信用度あらわす "eスコア"
・個人の健康度をはかる健康スコア
などをとりあげ、これらの野放図な利用がいかに社会に害悪を及ぼすか(または及ぼしているか)を厳しく警告していました。
このうち、"大学ランキング" は "組織体のランキング" ですが(日本の例として "都道府県幸福度ランキング" を書きました。No.247「幸福な都道府県の第1位は福井県」)、その他は "個人をランキングする"、ないしは "個人を分類する" ものです。そこに数学が使われているため、それが害悪になるときに「破壊兵器としての数学」だとオニールは言っているのでした。
週刊 東洋経済
(2018年12月1日号)
ところで、最近の「週刊 東洋経済」(2018年12月1日号)で「データ階層社会」という特集が組まれ、現代社会において "個人をランキングしたり分類する" 動きがいかに進んでいるかを、多方面の視点から解説していました。時を得たタイムリーな特集企画だったと思ったので、そ…