No.246 - 中世ヨーロッパの奴隷貿易

今回は、No.22-23「クラバートと奴隷」でとりあげた中世ヨーロッパの奴隷貿易の補足です。そもそも "奴隷" というテーマは、No.18「ブルーの世界」で青色染料である "藍(インディゴ)" が、18世紀のアメリカ東海岸の奴隷制プランテーションで生産されたことを書いたのが最初でした。 このブログは初回の No.1-2「千と千尋の神隠しとクラバート」以来、樹木の枝が伸びるように、連想・関連・追加・補足で次々と話を繋げているので、"奴隷" をテーマにした記事もかなりの数になりました。世界史の年代順に並べると以下の通りです。 ◆紀元1~4世紀:ローマ帝国  No.162 - 奴隷のしつけ方  No.203 - ローマ人の "究極の娯楽"  No.239 - ヨークの首なしグラディエーター  No.162はローマ帝国の奴隷の実態を記述した本の紹介。No.203,239 はローマ帝国における剣闘士の話。 ◆8世紀~14世紀:ヨーロッパ  No.22 - クラバートと奴隷(1)スラヴ民族  No.23 - クラバートと奴隷(2)ヴェネチア  英語で奴隷を意味する "slave" が、民族名のスラヴと同じ語源であることと、その背景となった中世ヨーロッパの奴隷貿易。 ◆16世紀~17世紀:日本  No.33 - 日本史と奴隷狩り  No.34 - 大坂夏の陣図屏風 &em…

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No.245 - スーパー雑草とスーパー除草剤

今まで3回に渡って、主として米国における "遺伝子組み換え作物"( = GM作物)について書きました。  No.102 - 遺伝子組み換え作物のインパクト(1) No.103 - 遺伝子組み換え作物のインパクト(2) No.218 - 農薬と遺伝子組み換え作物 の3つで、特にGM作物の中でも除草剤に耐性を持つ(= 除草剤耐性型の)トウモロコシや大豆、綿花についてでした。最近ある新書を読んでいたら、その米国のGM作物の状況が出ていました。菅 正治すが まさはる氏の『本当はダメなアメリカ農業』(新潮新書 2018。以下「本書」と記述)です。 菅 正治 「本当はダメなアメリカ農業」 (新潮新書 2018) 著者の菅氏は時事通信社に入社して経済部記者になり、2014年3月から2018年2月までの4年間はシカゴ支局に勤務した方で、現在は農業関係雑誌の編集長とのことです。本書は畜産業を含むアメリカ農業の実態を書いたもので、もと時事通信社の記者だけあって資料にもとづいた詳細なレポートになっています。 そこで今回は、本書の中から「GM作物、特に除草剤耐性型のGM作物」と、GM作物とも関連がある「オーガニック(有機)作物」の話題に絞って紹介したいと思います。No.102、No.218 と重複するところがありますが、No.102、No.218 の補足という意味があります。 なお、本書全体の内容は「アメリカ農業・畜産業は極めて強大だが、数々の問題点や弱みもある」というこ…

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