No.223 - 因果関係を見極める

No.83-84「社会調査のウソ」の続きです。No.83-84では主に谷岡一郎氏の著書『社会調査のウソ』(文春新書 2000)に従って、世の中で行われている "社会調査" に含まれる「嘘」を紹介しました。たとえばアンケートに関して言うと、回答率の低いアンケート(例:10%の回答率)は全く信用できないとか、アンケート実施者が誘導質問で特定の回答を引き出すこともあるといった具合です。そして、数ある「嘘」に惑まどわされないための大変重要なポイントとして、  相関関係があるからといって、因果関係があるとは限らない ということがありました。一般にXが増えるとYが増える(ないしは減る)という観測結果が得られたとき、Xが増えたから(=原因)Yが増えた・減った(=結果)と即断してはいけません。原因と結果の関係(=因果関係)の可能性は4つあります。 ①Xが増えたからYが増えた(因果関係) ②Yが増えたからXが増えた(逆の因果関係) ③X,YではないVが原因となってXもYも増えた(隠れた変数) ④Xが増えるとYが増えたのは単なる偶然(疑似相関) 相関関係がある場合の可能性 XとYのデータの動きに関連性がある場合の可能性。①XがYに影響する、②YがXに影響する、③VがXとYの両方に影響する。これ以外に、④単なる偶然、がある。図は伊藤公一朗「データ分析の力 因果関係に迫る思考法」より引用。 『社会調査のウソ』で谷岡一郎氏があげている何点かの例を振り返ってみますと(…

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No.222 - ワシントン・ナショナル・ギャラリー

バーンズ・コレクションからはじまって、個人コレクションを発端とする美術館について書きました。 No. 95バーンズ・コレクションフィラデルフィア No.155コートールド・コレクションロンドン No.157ノートン・サイモン美術館カリフォルニア No.158クレラー・ミュラー美術館オッテルロー(蘭) No.167ティッセン・ボルネミッサ美術館マドリード No.192グルベンキアン美術館リスボン No.202ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館ロッテルダム(蘭) No.216フィリップス・コレクションワシントンDC No.217ポルディ・ペッツォーリ美術館ミラノ の9つの美術館です。今回はその方向を少し転換して、アメリカのワシントン・ナショナル・ギャラリーについて書きます(正式名称:National Gallery of Art。略称:NGA。以下 NGA とすることがあります)。  なお上記の "個人コレクション美術館" 以外にも、バーンズ・コレクションから歩いて行けるフィラデルフィア美術館(No.96、No.97)について書きました。またプラド美術館の数点の絵画についても書いています(No.133、No.160、No.161)。 なぜワシントン・ナショナル・ギャラリーかと言うと、過去にこのブログでこの美術館の絵をかなり紹介したからです。意図的にそうしたのではなく、話の成り行き上、そうなりました。そこで、過去に取り上げた絵を振り返りつつ、取り上げ…

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