No.185 - 中島みゆきの詩(10)ホームにて

No.35「中島みゆき:時代」から始まって、No.179「中島みゆきの詩(9)春の出会い」まで、中島みゆきさんの詩をテーマに10回書きました。今回はその続きです。 中島みゆきさんの詩についての記事の一覧が、No.35「中島みゆき:時代」の「補記2」にあります。 定点写真 「怒り新党」というテレビ朝日の番組があります(水曜日 23:15~)。例の、マツコさんと有吉さんと青山アナウンサー(以前は夏目アナ)のトーク番組です。2016年8月3日に放映されたこの番組の中での「新三大〇〇調査会」はちょっと感動的な内容でした。 テーマは「新三大 写真家・富岡畦草けいそうの次世代に託したい定点写真」です。富岡畦草さんは大正15年(1926)生まれで、現在90歳です。人事院に勤めたこともあるカメラマンで、現在も写真を撮っています。そのライフワークは「定点写真」です。つまり富岡さんは昭和33年(1958年)から半世紀以上ものあいだ、決まった場所で決まったアングルで写真(フィルム写真)を撮り続けています。しかもこの定点写真を次世代に託したいということで、娘の三智子さんと孫の碧美たまみさんも加え、今は3人で撮っています。番組で紹介された定点写真は次の3つでした。 ◆銀座4丁目交差点 ◆新橋駅前広場 ◆家族写真(銀座中央通りで) 素晴らしいと思いました。銀座4丁目交差点は北の方向を見て撮っているのですが、半世紀の移り変わりが手にとるようにわかります。改装中の三越では命綱なしのとび職人…

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No.184 - 脳の中のGPS

空間位置を把握する能力 今回はNo.50「絶対方位言語と里山」の続きです。No.50 で "絶対方位言語" を話す少数民族の話を書きました。要約すると、 ◆絶対方位言語とは、空間上の位置関係を示すのに、右・左・前・後というような「相対方位」の語彙がなく、東・西・南・北のような「絶対方位」を示す語彙だけをもつ言語である。たとえばオーストラリアのアボリジニにはそういう言語を話す種族がいる。 ◆絶対方位言語の話者は、たとえばテーブルの上のモノの位置関係を示すにも「コップの南東に皿がある」といった表現をする。 ◆絶対方位言語の話者は、方位や自分が現在いる位置の把握能力に優れており、たとえば次のようなことができる。 ・どの場所に来ても、東西南北の方位を正確に示せる。 ・家から離れたとろころ(数キロ~100キロ)に来ても、家の方向を正確に示せる。 ということでした。我々はこういう話を聞くと「絶対方位言語の話者は、相対方位の語彙がないために空間位置の認識能力が発達した。一方、(特に近距離において)相対方位を多用する我々は、そういった能力が発達しなかった。」と考えます。それが普通の考え方でしょう。 しかし No.50 の「補記」で紹介した、今井むつみ著「ことばと思考」(岩波新書。2010)には、次の主旨のことが書かれていました。 ◆「相対枠組みが主流の言語」の子どもが「左」と「右」という言葉を学習する時期は、モノの名前などに比べてかなり遅く、これらの言葉を間違えなく使…

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