No.153 - 中島みゆきの詩(7)樋口一葉

今までに、中島みゆきの詩に関して7つの記事を書きました。 No.  35 - 中島みゆき「時代」 No.  64 - 中島みゆきの詩( 1)自立する言葉 No.  65 - 中島みゆきの詩( 2)愛を語る言葉 No.  66 - 中島みゆきの詩( 3)別れと出会い No.  67 - 中島みゆきの詩( 4)社会と人間 No.  68 - 中島みゆきの詩( 5)人生・歌手・時代 No.130 - 中島みゆきの詩( 6)メディアと黙示録 の7つですが、今回はその続きです。 日本文学からの引用 No.68「中島みゆきの詩(5)人生・歌手・時代」で、《重き荷を負いて》(A2006『ララバイSINGER』)という曲の題名は、徳川家康の遺訓である「人の一生は、重き荷を負いて遠き道を行くがごとし」を連想させると書きました。あくまで連想に過ぎないのですが、こういう連想が働くのも、中島作品には日本の歴史や文化に根ざした詩がいろいろあるからで、たとえば、 《新曾根崎心中》 『夜を往け』1990 《萩野原》 『EAST ASIA』1992 《雨月の使者》 『時…

続きを読む

No.152 - ワイエス・ブルー

No.150「クリスティーナの世界」と No.151「松ぼっくり男爵」でアンドリュー・ワイエス(1917-2009)の絵画をとりあげましたが、その継続です。今回はアンドリュー・ワイエスの "色づかい" についてです。No.18「ブルーの世界」の続きという意味もあります。 まず「クリスティーナの世界」の画題となったオルソン家の話からはじめます。 オルソン家 No.150「クリスティーナの世界」で描かれたクリスティーナ・オルソンは、1歳年下の弟・アルヴァロとともにオルソン・ハウスと呼ばれた家に住んでいました。その家はアメリカ東海岸の最北部、メイン州のクッシングにあるワイエス家の別荘の近くです。オルソン家とアンドリュー・ワイエスの出会いを、福島県立美術館・学芸員の荒木康子氏が書いています。 1939年の夏のある日、メイン州クッシングの夏の家にいたアンドリュー・ワイエスは、ジェイムズという男を訪ねることにした。まだ会ったことのない男だったが、ジェイムズの友人が、デビューしたてのワイエスの絵を一枚買ったという話を人づてに聞き、どういうわけかその日、訪ねてみようという気になったのだった。あいにく彼は外出中で、かわりに娘のベッツィがワイエスを出迎えた。ベッツィとワイエスはすぐに打ち解け、一緒にドライブに出ることになった。彼女は、いいとことがあるといって、一本道の行き止まりにある古い質素な家にワイエスを案内した。そこにはクリスティーナ・オルソンと弟のアルヴァロが住んでいた。 こう…

続きを読む