No.108 - UMAMIのちから

No.106「食品偽装と格付けチェック」の続きです。2013年の一連の「食品偽装事件」、および「芸能人 格付けチェック」で出題される料理・食材の問題(No.31)で分かることの一つは、 「食」のプロではない一般人にとって、料理・食材・お酒の味を判別するのは簡単なことではない。「おいしい」か「まずい」かは分かるが「どういったおいしさか」はを識別するのは難しい ということだと思います。もちろんプロは違います。プロの料理人や食品製造・流通業の人、ソムリエなどの顧客サービスの専門家は、味の相違や共通性が大変敏感に分かるようです。しかし素人しろうとにとっては、判別はそう簡単ではない。 この最も極端な例が、テレビの「グルメ番組」に登場する「レポーター」です。 「グルメ・リポーター」の悲惨 テレビで「料理」を取材した番組がいろいろあります。それは、大都市のレストラン・飲食店だったり、老舗の日本料理店であったり、また地方の郷土料理店もあり、もちろん外国、特にフランスやイタリアなどもよく紹介されます。そういった番組の「レポーター」として、料理のプロではないタレント、芸能人、女優などが起用されることが多い。こういった人たちを「グルメ・レポーター」ないしは略して「レポーター」と呼ぶことにします。このような番組で強い違和感を覚えるのは  料理を食べてみて、ほとんど「おいしい」としか言わない、ないしは「おいしい」と同義の言葉しか発しない「グルメ・レポーター」がいる、むしろそうい…

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No.107 - 天然・鮮魚・国産への信仰

前回の、No.106「食品偽装と格付けチェック」の続きです。No.106 で朝日新聞の読者アンケート「許せない誤表示・偽装食品ランキング」(2013.12.14)を紹介しまたが、再掲すると以下の通りです。 許せない誤表示・偽装食品ランキング 順位票数表示食品代用食品1位972票伊勢エビロブスター2位902票牛ステーキ牛脂注入肉のステーキ3位791票和牛外国産牛4位678票牛肉牛肉の成型肉5位590票アワビロコ貝6位532票鮮魚解凍魚7位499票国産豚外国産豚8位495票無添加パン添加物入りパン(増粘剤など)9位491票天然の魚養殖魚10位489票フカヒレ人工フカヒレ(春雨などで作る) 朝日新聞(2013.12.14) この中の9位である「養殖魚を天然ものと偽装するのは許せない」とするアンケート結果について考えてみたいと思います。この回答の裏には日本人の「天然もの信仰」があると思われるからです。  なお、以下の文章は「食品偽装という詐欺によって儲けを増やした業者」を擁護するつもりは全くありません。 「天然もの」は自然の収奪 人間の歴史を振り返ってみると、遙か昔は「狩猟採集」で食料を得ていたわけです。No.105「鳥と人間の共生」に書いたように、アフリカ(そして南米など)には、今でも狩猟採集の生活を送っている人々がいます。 約1万年から始まった「農耕」によって、人類はいわゆる文明を発達させ、その後「牧畜や酪農」も進んできました。現代の日本においては…

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