No.63 - ベラスケスの衝撃:王女と「こびと」
No.19「ベラスケスの怖い絵」でとりあげた名画「ラス・メニーナス」ですが、この絵は数々の芸術家や文学者のインスピレーションを駆り立ててきました。以前にとりあげた例では、
◆絵画:サージェント『エドワード・ダーレー・ボイトの娘たち』
No.36「ベラスケスへのオマージュ」◆小説:カンシーノ『ベラスケスの十字の謎』
No.45「ベラスケスの十字の謎」
があります。ピカソの『ラス・メニーナスの模写連作』についても No.45 で触れました。今回はその続きで、童話とオペラをとりあげます。
ベラスケス『ラス・メニーナス』(プラド美術館)
オスカー・ワイルド : 『王女の誕生日』(The Birthday of the Infanta)
No.19「ベラスケスの怖い絵」で書いたように、中野京子さんは著書の『怖い絵』で「ラス・メニーナス」に登場する小人症の2人に注目し、そういう異形の人たちを集めて「慰み者」「道化」「使用人」として使った17世紀のスペイン宮廷について書いていました。
この「ラス・メニーナス」に触発され、スペイン宮廷に異形の者たちが集められたという歴史的事実に着目して書かれた童話があります。19世紀後半のイギリスの作家・オスカー・ワイルド(1854-1900)の『王女の誕生日』です。
オスカー・ワイルドは童話集を2つ出版しています。第1童話集は『幸福な王子、その他 - The Happy Prince and Other Tales』(188…