No.61 - 電子書籍と本の進化
No.59「電子書籍と再販制度の精神」、No.60「電子書籍と本の情報化」に続いて電子書籍に関する話です。今回は「本そのもの」が電子書籍化によって読みやすくなり価値も高まるだろうという「本の進化」です。
本の進化というと No.60「電子書籍と本の情報化」で書いたマルチメディア化によって、従来にない本のスタイル(文字+写真+動画+音声など)が可能になることもあるのですが、以下に書くのは「文字中心の本」の話です。私は文字中心の本、ないしは文字だけの本が電子書籍化によって大きく進化すると思っていて、これが最も電子書籍に期待することなのです。
以下にその「進化」の一部の例を書きますが、「既に出来ていること」と「今後出来てほしいことで、技術的には今でも可能なこと」が混在しています。技術的に可能でも、コストや標準化などから実現のための障壁がある場合もあります。
電子栞と電子書き込み
まず「電子栞(ブックマーク)」です。紙の栞と違って枚数が増えても扱いやすく、また色分けや見出しを付けるのが容易です。どこまで読んだかの判別だけでなく、分量の多い書籍を読む場合には重要でしょう。
電子的に「書き込み」や「メモの張り付け」ができ、修正・削除・追加が容易なことも電子書籍ならではです。評論的な文章を読むときには、自分の考えをその場にメモしておきたいことがよくあります。
電子栞と電子書き込み(メモ)は電子書籍リーダーや電子書籍アプリの基本機能でしょう。現在のリーダやアプリでも実現されてい…