No.44 - リスト:ユグノー教徒の回想
No.8「リスト:ノルマの回想」では、ベッリーニのオペラ「ノルマ」の旋律にもとづいて、フランツ・リスト(1811-1886)が作曲したピアノ曲『ノルマの回想』(1836)を紹介しました。今回は、それと同じ年に書かれた同一趣向の曲を取り上げます。
NAXOS版 リスト ピアノ曲全集 第1巻
「ユグノー教徒の回想」が収録されている
ピアノ:アーナルド・コーエン『ユグノー教徒の回想』(1836)は、マイヤーベーア(1791-1864)のオペラ「ユグノー教徒」(1836年・パリのオペラ座で初演)の中の旋律にもとづいて、リストが自由に作曲・構成したピアノ曲です。1836年ということは、オペラ発表の年と同年に書かれたということになります。原題は「マイヤーベーアのオペラ・ユグノー教徒の主題による大幻想曲」ですが、『ユグノー教徒の回想』という通称(リストが自筆原稿にそう書いているそうです)が分かりやすいので、それで通します。掲載したCDジャケットの写真は、この曲が収録されているNAXOS版のリスト・ピアノ音楽全集の第1巻です。
このリストの曲も、そのもとになったオペラも、『ノルマの回想』に比べるとずっとマイナーな感じですが、リストの曲が好きな人は多いと思うので取り上げる意味はあるでしょう。まず、マイヤーベーアのオペラ『ユグノー教徒』についてです。
サン・バルテルミの虐殺
このオペラの背景となっているのは「サン・バルテルミの虐殺」と言われるフランス史の事件、いやヨーロッパの歴史上の大…