No.42 - ふしぎなキリスト教(2)
前回より続く西洋を作ったキリスト教:資本主義の発達
前回に引き続き『ふしぎなキリスト教』(橋爪大三郎・大澤真幸 著。講談社現代新書 2011)の感想です。
橋爪大三郎・大澤真幸
「ふしぎなキリスト教」
(講談社現代新書 2011)プロテスタントが西洋における資本主義の発達を促したという理論は、マックス・ヴェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」で主張されたものです。プロテスタント、とりわけカルヴァン派の教義が作り出した生活態度が、資本主義への決定的なドライブを生んだ、というのがその主張であり、なぜそう言えるのかが、ヴェーバーの説に従って解説されています。しかし、本書のこの解説は説明不足というか、資本主義の発達の説明にはなっていないのです。
まずその解説をみてみましょう。ポイントはカルヴァン派の救済予定説(予定説)です。つまりカルヴァン派の考え方によると、
①ある人が最後の審判で救済されるかされないかは、あらかじめ神が決めていて、人間の行動がその決定に影響を与えることはできず、②かつ、その神の決定を人間があらかじめ(最後の審判以前に)知ることはできない
ということなのです。本書で橋爪さんが言っているように、これは一神教の論理のもっとも純粋なヴァージョンであり、一神教を突き詰めて考えるとこうなるわけです。以下、この救済予定説と資本主義の関係を橋爪さんが解説した部分の引用です。
[橋爪]
ゲームの理論を使って、考えてみましょう。
プレーヤーは神…