No.382 - 高校数学で理解するジグザグ順列の数理
No.376「高校数学で理解する出会いの問題」で、完全順列の個数を分析しました。\(1\) ~ \(n\) の \(n\)個の数字の順列の総数は \(n!\) ですが、その中で \(i\) 番目の数字 \(a_i\) が \(i\) でない順列を完全順列(complete permutation)と言います。つまり、
\(a_i\neq i\:\:(1\leq i\leq n)\)
を満たす順列です。攪乱(かくらん)順列(derangement)とも呼ばれます。順列の総数に対する完全順列の割合は、\(n\) が増えるに従って極限値の、
\(\dfrac{1}{e}=0.3678794411\cdots\)
に急速に近づき、\(n=6\) 以降では \(\fallingdotseq0.368\) と見なせます。つまり、完全順列の割合は "ほぼ一定" です。このことを No.376 では「くじ引きによる席替え」を例に説明したのですが、この割合に自然対数の底 \(e\) が現れるのに加えて、"ほぼ一定" というところが少々直感に反する結果なのでした。ところで、完全順列を一般化して言うと、
\(1\) ~ \(n\) の数字の順列(総数 \(n!\))の中で、ある特定の条件を満たす順列
です。この「特定の条件を満たす順列」の別の例として、今回は「交代順列」を取り上げます。これは「ジグザグ順列」とも呼ばれます。
交代順列(Alternating P…